著者
山岸 拓也
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.433-434, 2010-12

目的 近年環状切除に性感染症の予防効果があるという研究がなれているが,日本ではこの分野の研究が乏しい.日本で研究をするに当たり,診察に代わり得る質問紙があれば有用であると思われ,男性性器の状態を問う質問紙の妥当性を評価した.方法 対象は18歳以上の成人男性とする.男性性器の状態を記した質問紙を神奈川県の2クリニックで診療前に配布し,その後実際に医師が診察を行い,その結果を同質問紙に記載してもらった.解析はkappa統計と%agreementを用いた.結果 合計166枚が配布され,回収率100%であった.対象者の年齢は範囲が18〜89歳で中央値が40歳であり,クリニック間で年齢の平均に有意な差を認めなかった(p=0.10).初診時の診断は両クリニックとも尿路性器の疾患を持つ患者が多かった.環状切除に関しては患者の申告と医師の診察はすべて一致していた.ペニスの状態は5段階で評価するとkappa係数は0.66(%agreement0.75),包皮なし,仮性包茎,真性包茎という3段階に直して評価するとkappa係数は0.89(%agreement0.94),また包皮なし,包皮ありという2択に直して評価するとkappa係数は0.88(%agreement0.94),感度90%,特異度98%であった.結論 ペニスの状態と環状切除の有無を問う本質問紙は妥当である.