著者
伊藤 竜生 山崎 宏樹 船水 尚行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.481-486, 2008

製造、運転コストの小さいコンポスト型トイレの試作行い、その運転性能およびコストについての検討を行った。トイレの仕様として、水分負荷を小さくできるし尿分離型で、動力を必要としない手動撹拌とした。その結果次のことがわかった。糞便の総投入量の増大につれておが屑マトリックスの重量が増大したが、約50%の有機物が分解した。含水率は約55%で安定した。条機酸の生成は反応初期に見られたが、開始後約2週間で条機酸の生成は認められなくなった。4人家族が使用することを想定した糞便の負荷でも好気的なコンポスト化が行われた。大腸菌数や大腸菌群数はこれまでの加温型のトイレに比べ高かったため、何らかの不活化処理が必要と考えられる。撹拌に要する力は使用期間が長くなるにつれて大きくなったが、減速器の使用などにより必要な力を小さくすることが可能である。しかしながら、撹拌の回転数やスクリューの強度についての検討が必要である。このスクリューにおける撹拌に必要な力は、撹拌されるマトリックスの重量の増加およびスクリューと反応槽の壁面との距離の減少に伴い増加した。材料のコストは約22万円であったが、その大部分はスクリューであった。インドネシアでは約Rp.10, 000, 000 (約100, 000円) であり、トイレの総建設費用を上回った。また、材料費は反応槽用の壁面用塩ビがコストの66%を占めた。