著者
成田 樹昭 落藤 澄 小林 三樹 長野 克則 船水 尚行
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.309-321, 1995-05-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
15
被引用文献数
2

寒冷都市の水が持つ熱エネルギーの評価とその利用の可能性の検討を,札幌市を例に行った.まず,河川水・地下水・水道水・下水の月別熱賦存量を算出し,下水についてはその排熱分布図を作成し,さらに上下水道系の熱エネルギーフローを推定することによって,都市内での水が持つ熱エネルギーの賦存状況を明らかにした.次いで,水の熱利用形態に応じ熱源としての利用可能性の検討を行った.以上のエンタルピー的評価に加え,熱力学に基づく評価指標を用いた質的評価も行なった.これらの検討の結果,下水処理場の排熱が最も有望であることがわかった.最後に,広域熱供給に下水処理場排熱を利用した場合,得られる1次エネルギー削減量を地域毎に算定し,その分布図を作成した.
著者
船水 尚行 大仲 孝昌 高桑 哲男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.345-354, 2000-11-13 (Released:2011-06-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The lab-scale experiments were performed to study suspended growth of heterotrophic bacteria and decay process of free and combined chlorine in reclaimed water. It was found that suspended growth of bacteria was suppressed by combined chlorine and that the rapid growth began after combined chlorine had been consumed completely. It was also found that the initial dose of the chlorine could delay their growth, but could not control the maximum count of bacteria. Decay process of free chlorine was described by the simple first-order reaction. To simulate disappearance of combined chlorine, two steps model of first-order reaction was required. The values of rate constants for the first-order reactions depended on the initial chlorine concentration. The simple model for simulating bacteria growth was developed with aid of the activated sludge model No.2 and data from experiments without chlorine dose. It was found that the simple model was also applicable to the experimental results with chlorine dose.
著者
伊藤 竜生 山崎 宏樹 船水 尚行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.481-486, 2008

製造、運転コストの小さいコンポスト型トイレの試作行い、その運転性能およびコストについての検討を行った。トイレの仕様として、水分負荷を小さくできるし尿分離型で、動力を必要としない手動撹拌とした。その結果次のことがわかった。糞便の総投入量の増大につれておが屑マトリックスの重量が増大したが、約50%の有機物が分解した。含水率は約55%で安定した。条機酸の生成は反応初期に見られたが、開始後約2週間で条機酸の生成は認められなくなった。4人家族が使用することを想定した糞便の負荷でも好気的なコンポスト化が行われた。大腸菌数や大腸菌群数はこれまでの加温型のトイレに比べ高かったため、何らかの不活化処理が必要と考えられる。撹拌に要する力は使用期間が長くなるにつれて大きくなったが、減速器の使用などにより必要な力を小さくすることが可能である。しかしながら、撹拌の回転数やスクリューの強度についての検討が必要である。このスクリューにおける撹拌に必要な力は、撹拌されるマトリックスの重量の増加およびスクリューと反応槽の壁面との距離の減少に伴い増加した。材料のコストは約22万円であったが、その大部分はスクリューであった。インドネシアでは約Rp.10, 000, 000 (約100, 000円) であり、トイレの総建設費用を上回った。また、材料費は反応槽用の壁面用塩ビがコストの66%を占めた。