著者
伊藤 彩乃 庄司 顕則 赤崎 洋哉 松前 満宏 山崎 旬 遊川 知久
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.347-350, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
20
被引用文献数
8 5

クゲヌマランは海岸のマツ林などに自生するとされる絶滅危惧種であるが,近年,埋立地などを中心に個体数が増加している。しかし,その生態については不明な点が多く,保全対策の検討が困難である。そこで,埋立地のシラカシ・タブノキ植栽林のクゲヌマラン群生地で野外播種試験を行い,クゲヌマランの種子発芽と初期成長を観察した。その結果,播種後 1年で 20 %近くの発芽率が確認され,複数の根が伸長し,長さ 3 cmまで成長した個体もみられた。同地で試験を行っているキンランと比較し,成長が早かった。埋立地の樹林環境が本種の発芽・成長に適していることから,都市部の植栽林がクゲヌマランの保全に貢献していると考えられる。
著者
庄司 顕則 伊藤 彩乃 赤崎 洋哉 松前 満宏 山崎 旬 遊川 知久
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.343-346, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
6

キンランは里山に自生する絶滅危惧種である。今回,キンランが生育する埋立地において野外播種試験を行い, 2年間にわたって発芽と成長を観察した。その結果, 2年目により多くの発芽・成長個体が確認され,複数の根が伸長した個体もみられた。本種の生育地付近だけでなくブナ科が混生する周辺の植栽林で成長が確認されたことで,里山環境が失われつつある中,埋立地など都市部の植栽林が本種の保全に活用できる可能性が高まった。