著者
山崎 由香里
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.67-80, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
37

スマートフォンやSNSの普及が進む中,プライバシーやマナー等の倫理意識欠如によるトラブルが後を絶たない.頻繁に利用する若年層に対して,強制せずに倫理的利用を促すために,本研究は行動経済学で注目される「ナッジ(nudge)」を試みた.ナッジを推進する諸ツールの体系化を図り,SNSを利用する米国,中国,および日本の3か国の若者(n=1,220)を対象に9つのナッジツールの効果を検証した.実験の結果,「リマインダー」,「デフォルト」,および「メンタル・アカウンティング」の3種のナッジツールで有意な効果が見られ,中でも日本被験者に対する強い効果が確認された.さらに,米国被験者の倫理的配慮が日本および中国よりも有意に高い傾向も見いだされた.本研究の結果は,若者によるSNS等の倫理的利用を求める企業や機関に対する有益なツールの明示となり得る.また,中国および日本被験者の倫理配慮度の低さに警鐘を鳴らし,対策を講じる必要性を見出した.
著者
山崎 由香里
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.10, pp.67-80, 2018

<p>スマートフォンやSNSの普及が進む中,プライバシーやマナー等の倫理意識欠如によるトラブルが後を絶たない.頻繁に利用する若年層に対して,強制せずに倫理的利用を促すために,本研究は行動経済学で注目される「ナッジ(nudge)」を試みた.ナッジを推進する諸ツールの体系化を図り,SNSを利用する米国,中国,および日本の3か国の若者(<i>n</i>=1,220)を対象に9つのナッジツールの効果を検証した.実験の結果,「リマインダー」,「デフォルト」,および「メンタル・アカウンティング」の3種のナッジツールで有意な効果が見られ,中でも日本被験者に対する強い効果が確認された.さらに,米国被験者の倫理的配慮が日本および中国よりも有意に高い傾向も見いだされた.本研究の結果は,若者によるSNS等の倫理的利用を求める企業や機関に対する有益なツールの明示となり得る.また,中国および日本被験者の倫理配慮度の低さに警鐘を鳴らし,対策を講じる必要性を見出した.</p>