著者
山崎 秀彦
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.1481-1492,012, 2000

弊社の第1号ヤンキーの図面は1891年に作製され, その3年後に原型となる製品がGoteborg製紙工場に納入された。このヤンキーはその後1980年代まで運転され, 最後に北アフリカのある製紙工場に売り払われた。以後, 現在まで450台のヤンキーシリンダーがKarlstad (スウェーデン) より出荷されている。材料, 製造法の改良に加えて, コンピューターによる工業デザイン化, 鋳造プロセスの精密化, コンピュータ制御による研削が行われている。今や, 抄速2,000m/min以上のティシュマシンにおいてもジャンボサイズのヤンキードライヤを目にすることができる。<BR>ティシュマシンでは, 乾燥部はヤンキードライヤとフードが主役であるが, これらに加えて, 近年は革新的なTAD (Through Air Drying) 技術の導入も行われ, 大幅な品質向上がもたらされる。<BR>一方, 板紙マシンにおいてもヤンキードライヤは, 従来ヨーロッパでMGドライヤとして乾燥部に設置されている例がよく見られた。近年の傾向としてはマシンの改造によりMGドライヤは除かれる傾向にあり, 目的の表面品質はカレンダーにより付与するというコンセプトに移ってきている。<BR>本稿では, ヤンキードライヤ, フード, TADの技術を紹介するとともに, 斬新なドライヤ技術として, 紙・板紙用のインピンジメントドライヤ, 板紙用の独創的なストレートスルーのブレスドライ方式であるコンデベルトを紹介する。
著者
山崎 秀彦
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.151-158, 2004

近年,中国での製紙産業の急速な発展はわが国の製紙業界でも大きな関心が寄せられている。日本を始めとする先進国での紙・板紙の需要がほぼ横這いであるのに対して,中国での紙・板紙の需要は急速な成長を示している。2002年の中国の製紙産業の総生産は3,780万トンであり,前年に比べて8.4%の成長を示した。抄紙機の新設が続いているものの,経済発展と膨大な人口による潜在的消費者の数から大方の予測では将来にわたって中国国内での需要が伸び続けるものと考えられている。<BR>メッツォペーパーは,中国では北京に支社,西安に合弁会社であるValmet―Xian社,無錫(ウーシー)にサービス技術センターを有し,中国でのビジネス,製造,サービスに努めている。これは,とりもなおさず近年,中国での製紙会社からの受注の増,それに伴うマシン稼動,そしてサービスを充足するためのものである。近年の特筆すべき点は,メッツォの技術の粋を集めた最新式のOptiConcept抄紙機が中国に設置,稼動し,さらに成果を上げていることである。1998年,メッツォペーパー(旧バルメット社)は21世紀に向けての革新的な抄紙機コンセプトであるOptiConceptを発表した。これは抄紙機のすべてのセクションを含んでおり,抄速2,000m/minの達成を目標として開発されたものである。現在では,既に何台かのOptiConceptマシンが世界で稼動しているが,その第1号機を中国の南平(ナンピン)造紙廠ナンピン工場に新聞用紙用マシンPM5として納入し,1999年12月にスタートアップさせている。その後,同型の抄紙機をチチハル製紙にも設置している。その後も最新型マシンの導入は続いている。メッツォペーパーにとって,現在,将来ともに極めて重要な市場である。<BR>本稿では,中国の今後の展望とこれまでメッツォペーパーが中国に導入した製紙機械技術の代表的なものについて紹介する。