著者
山形 純子 伊與田 浩志 西村 伸也
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.491-502, 2012-10-15 (Released:2012-11-30)
参考文献数
35

水蒸気を利用したオーブン加熱における被加熱物への伝熱形態別の伝熱量の時間変化を把握するために,気流の温度,湿度,流速が一定条件のもとで,湿らせたガーゼ球を試料として,加熱実験を行い,試料表面における熱収支に基づき,伝熱機構解析をおこなった.また,実機としてスチームコンベクションオーブンの伝熱機構解析を行った.その結果,以下のことが示された.(1) 気流温度,ガーゼ球表面温度および加熱前後のガーゼ球重量を測定することで,対流熱伝達係数を概算し,試料へ加えられた熱流束を形態別(対流,ふく射,伝導伝熱および凝縮伝熱)に分離し,各熱流束の時間変化を図示した.(2) 試料への伝熱形態別熱流束の時間変化を計算することで,試料水分変化量を推算し,推算結果と実測値がほぼ一致することを示した.(3) 実機であるスチコンの伝熱機構を,伝熱形態別熱流束の時間変化を図示することで示した.これにより,試料に加えられる総受熱量や凝縮熱量(凝縮水量),蒸発速度の大小を設定条件(気流温度,湿度,風速)により比較することが可能となった.