著者
山本 博美 若松 秀俊
出版者
足利工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本年度は、3年間にわたって開発した通信回線を含む電子保護システム全体について、実際に特別養護老人ホ-ムの施設で運用を繰り返し、その信頼性や経済性などについて研究を行った。まず、特別養護老人ホ-ムに設置した電子保護システムに、前年度までにシュミレ-ションを行って確認したパ-ソナルコンピュ-タ-とモデムを接続し、さらにNTTの電話回線を接続した。また実際に監視側コンピュ-タ-(研究室)から施設側コンピュ-タ-をアクセスし、徘徊デ-タの転送収集を平成3年3月から平成4年3月の期間にわたり、繰り返し行った。同時に市販の多機能ポケットベルが作動することを確認し、老人の外出時の救護が平均約10秒程度であることがわかった。これは介護者が、救護のために警戒する出入口に急行し、出入口に設置してある警報解除スイッチを操作した時間である。このことから電子保護システムは、介護者が目 を離した隙に徘徊性老人が外出しても、確実に警報を発し介護者も平均10秒以内に急行していることからいって、その有用性が確認できた。つぎに、電話回線を通じて施設側コンピュ-タ-から送られてくる警報デ-タは、収集プログラムの改良を行い、短時間で転送できるようデ-タ圧縮転送方式およびデ-タ処理のプログラムを開発した。なお、監視システムをパ-ソナルコンピュ-タ-で構成できたので、経済性の面で有利である。また今後は、一施設のみならず栃木県圏内の数ケ所の施設間で、ネットワ-クを構築し、電話回線を通じて送られてくる警報デ-タの処理および分析が必要である。また、デ-タの送信時のノイズ等による影響については、ソフトウエアの開発によりその影響を取り除き、確実にデ-タ送信できるシステムに改良した。