著者
小林 敏孝 篠沢 隆雄
出版者
足利工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

H16年度において、睡眠の数学モデルによって、睡眠時間が昼間の行動と密接な関係にあることを推定した。H16年度〜17年度にかけて、15名の被験者に睡眠日誌と行動量計(アクチグラフ)を約2週間記録してもらい、彼らの自覚的な睡眠覚醒リズム(SWR)と活動休止リズムを測定した結果、睡眠時間が6時間以下のshort sleeper (SS)では、昼間の活動量が常に高かかった。これに反して9時間を超えるlong sleeper (LS)の昼間の活動量は変動が大きく、SSに比べて低かった。17年度〜18年度にかけて、企業の中高年(38才〜59才)の会社員に対して、睡眠時間が比較的短い6名を選び、彼らに睡眠ポリソムノグラフ(PSG)等を3夜連続で記録した。その結果、平均睡眠時間が5時間半以下の者はREM睡眠の持続が悪く、精神的なストレスが過多であった。また、性格傾向を質問法(YGテスト)で検討した結果、SS群とLS群の間には大きな差異は認められなかった。しかし、面談による被験者の性格傾向としてSS群は快活、多弁の被験者が多く、LS群は物静かな印象を強く受けた。性格傾向に関しては詳細な検討が必要と考えている。以上の3年間の結果から、short sleeperの行動上特徴として、昼間の活動量が常に高いこと、さらに中高年では精神的なストレス過多にある可能性が高いことが明らかになった。これは、昼間の活動を高める性格に関与する性格遺伝子が睡眠時間を決定している遺伝子の有力な候補の可能性が高いことを意味する。3年間の研究期間においてshort sleeperの精神生理的な特徴の同定に多くの時間を要したために、遺伝子の同定に着手できなった。今後、平均睡眠時間が5時間前後でしかも昼間の活動量が高く昼寝の習慣がない群を選び、昼間の活動が高い性格に関与する遺伝子の同定を試みる。
著者
渡邉 美樹
出版者
足利工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

江戸期の寺地と寺院墓地の領域の変遷について、古地図や地籍図をもとに分析した結果、i)江戸期に、周辺の御朱印寺院の年貢地や借地である寺院が数多い。ii)上知後、「拝領地」の約半分が「境内」となり、「年貢地」はほぼ同面積が「民有地」となった。iii)明治以後に寺地の下戻しや払下げがなされた。iv)寺院墓地は江戸の墓地と明治の「境外官有地」を基準とし、むしろ拡張している。v)西浅草や駒込では街区の中央に寺地が残存し、谷中地区では住宅地と寺地・墓地が共存している。
著者
星野 直人 山城 光雄
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.141-143, 2000-10-27

本研究では、2組のデータの分布を比較する問題を扱った.このような分布の比較を行うためのグラフィカル手法として,経験Q-Qプロットがある.これは,2つの経験分布関数の対応する分位点の散布図である.他方,2組のデータが同一の分布に従うかどうかを検討する問題は2標本問題と呼ばれ,経験分布に基づく検定としてスミルノフ検定がある.本研究では,スミルノフ統計量から経験Q-Qプロット上に描画できる採択限界を導出し,2組のデータプロットがこの採択限界を横切るがどうかに従ってデータぼ分布の相違を検出するグラフィカル手法を提案した.さらに,提案法の適用を説明するために数値例を与えた.
著者
飛田 ルミ
出版者
足利工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、工科系などの単科大学においてESP教育を実践するために、数年間にわたり様々なアンケート及び面接調査を実施し、その結果に基づいてカリキュラム改変及びプログラム改善を行った。調査対象は、工科系を専門とする学生、専門課程教職員、卒業生が就職する可能性が高い近隣の企業、並びにアメリカ在住の日本人エンジニアとし、必要とされる英語力を調べた。その結果、学生、社会人とも、日常会話能力の向上を望んでおり、次いで基礎英語力、工業英語、学術英語の順で必要度が高かった。しかし同時に、現役学生の調査結果では、多くが英語に対する苦手意識を持っていることも明らかとなり、これらの結果を基盤に、大幅な習熟度別カリキュラムの改変し、さらにはオリジナルの海外研修プログラムを構築した。
著者
寺井 伸浩
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.109-116, 2008-03

The French mathematician Pierre de Fermat is famous primarily because of his extensive work in number theory. We describe several conjectures concerning exponential Diophantine equations related to Fermat's equation. By means of elementary methods and Baker theory, we show that the exponential Diophantine equation a^x + db^y = c^z has only one solution in positive integers x, y, z under some conditions.
著者
藤田 諒史 松本 直文
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.69-76, 2008-03

In this paper, we describe about a simple experimental system to analyze and mix smells aiming at remote transmission of the smell. In this system we used four quartz resonators for sensing smell. A smell recipe that is nearest the target smell is made by a combination of some smell elements by using a discrete approximation algorithm. First, we do experiments under assumption that the target smell is an arbitrary combination of smell elements. As a result, the effectiveness of this system is confirmed. Some stimulation systems that combined the sight, the sense of touch, and sense of smell are made for trial purposes to construct VR systems with high presence, and the evaluation experiment is done. The result of this research shows a basic finding to achieve the sense of smell stimulation system in the future, and shows feasibility of this kind of systems.
著者
高橋 政美
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.97-101, 2008-03

I compiled this report to observe the difference between the ideal and the reality, and to propose the methods to bring the reality as close to the ideal as possible about what "a representative of the nation means" in Constitution of Japan Article 43. Therefore I point out the importance to continue to make an effort to reduce the gap between the reality and the ideal "a representative of the nation" means in the context of the election system.
著者
大須 泰治 吉田 弘法 岡村 輝一 小西 裕之 小林 敏孝
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.113-117, 2005-03-18

In our previous article (Ashikaga Institute of Technology Research Report Vol. 36, 2003), the effect of sleep on performances of gymnasts was examined in terms of their subjective feelings of sleep, and it was found out that Japan's top athletes had achieved adequate sleep regularity and that the degree of a good sleep estimation in them was larger than that in average university athletes. In this article, we have attempted to add details about the relationship between the sleep behavior and athletic performance through the analysis of sleep-log of a gymnast who participated in Sydney Olympic Games 2000. His sleep behavior before, during, and after the Olympic Games was analyzed and compared with the sleep behaviors of five other subjects examined in the previous research. The Olympic gymnast showed an extremely high degree of regularity in sleep and positively estimated his subjective feeling of sleep, which supposedly led to his successful performance in the Olympic Games. This result suggests that top-level international gymnasts characteristically have a high degree of sleep regularity and quality.
著者
高橋 大輔
出版者
足利工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は「固体ヘリウム4に発現する低温物性異常が転位運動のみで理解できるか」の問題提起のもと,以下の手法で実施された。(1)転位運動による固体弾性変化がねじれ振子の共鳴周波数変化に与える影響の有限要素法を用いた定量的評価。(2)定常回転下における剪断・体積弾性率の直接測定。結果,(1)により固体弾性変化がねじれ振子の周波数変化を定量的に説明することが明らかになった。しかし,(2)より回転下の弾性率にねじれ振子実験で観測された回転数依存性を持つ固体ヘリウム4物性量の“量子化”は観測されなかった。本研究により,転位運動は固体ヘリウム物性異常のすべてを説明しないことが明らかになった。
著者
野沢 純一
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.17-22, 2008-03

The author has proposed the paper that used the tanka and haiku to explain terms, formulae and laws in the area of electrical and electronic engineering. The basic formula in the area summarizes the phenomenon. Understanding the phenomenon grasps the meaning of the formula. The tanka to explain the phenomenon is expected that the memory of the formula is established easily. This paper shows the poems which have the tanka forms to explain terms, phenomena, formulae and laws in the area of electric circuits, electromagnetism and useful mathematics for leaning the electrical and electronic engineering.
著者
山本 博美 若松 秀俊
出版者
足利工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本年度は、3年間にわたって開発した通信回線を含む電子保護システム全体について、実際に特別養護老人ホ-ムの施設で運用を繰り返し、その信頼性や経済性などについて研究を行った。まず、特別養護老人ホ-ムに設置した電子保護システムに、前年度までにシュミレ-ションを行って確認したパ-ソナルコンピュ-タ-とモデムを接続し、さらにNTTの電話回線を接続した。また実際に監視側コンピュ-タ-(研究室)から施設側コンピュ-タ-をアクセスし、徘徊デ-タの転送収集を平成3年3月から平成4年3月の期間にわたり、繰り返し行った。同時に市販の多機能ポケットベルが作動することを確認し、老人の外出時の救護が平均約10秒程度であることがわかった。これは介護者が、救護のために警戒する出入口に急行し、出入口に設置してある警報解除スイッチを操作した時間である。このことから電子保護システムは、介護者が目 を離した隙に徘徊性老人が外出しても、確実に警報を発し介護者も平均10秒以内に急行していることからいって、その有用性が確認できた。つぎに、電話回線を通じて施設側コンピュ-タ-から送られてくる警報デ-タは、収集プログラムの改良を行い、短時間で転送できるようデ-タ圧縮転送方式およびデ-タ処理のプログラムを開発した。なお、監視システムをパ-ソナルコンピュ-タ-で構成できたので、経済性の面で有利である。また今後は、一施設のみならず栃木県圏内の数ケ所の施設間で、ネットワ-クを構築し、電話回線を通じて送られてくる警報デ-タの処理および分析が必要である。また、デ-タの送信時のノイズ等による影響については、ソフトウエアの開発によりその影響を取り除き、確実にデ-タ送信できるシステムに改良した。
著者
宮澤 伸吾 今本 啓一 今本 啓一 鯉渕 清 大友 健
出版者
足利工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

高炉セメントB種を用いたコンクリートの自己収縮ひずみは,普通ポルトランドセメントを用いた場合と比べて大きく,高温履歴を受けると初期材齢における自己収縮の進行速度が大きくなり,終極値も大きくなることを実験により明らかにした。自己収縮の終極値および進行速度を最高温度の関数として定式化し,温度履歴の影響を考慮した実用的な高炉セメントコンクリートの自己収縮ひずみの予測式を提案した。提案した自己収縮ひずみの予測式は,日本コンクリート工学協会「マスコンクリートのひび割れ制御指針2008」の設計用値として採用された。低発熱・収縮抑制型高炉セメントを用いた場合,温度上昇過程において,自己膨張に起因する圧縮応力が導入されることが認められ,一般の高炉セメントB種および普通ポルトランドセメントを用いた場合と比べて引張応力-強度比が小さくなり,温度ひび割れ低減効果が認められた。これにより,高炉セメントの比表面積,三酸化硫黄(SO_3)量および高炉スラグ混入率を調整することにより,マスコンクリートの温度ひび割れ抵抗性は著しく向上することが明らかとなった。フルサイズ骨材を用いたダムコンクリートについて,自己収縮および断熱温度上昇量を把握するとともに,拡張レヤー工法(ELCM)により施工される重力式ダムについて3次元FEM温度応力解析を行った。その結果,高炉セメントを用いた場合は,外部コンクリートや着岩コンクリートにおいては大きな自己収縮が生じ,これに起因して発生する引張応力がひび割れの発生原因になりうることが明らかとなった。さらに,セメントの種類によりダムコンクリートの自己収縮は著しく異なり,セメントの種類の選定によりダムコンクリートのひび割れ抵抗の向上を図れる可能性があることを指摘した。
著者
野沢 純一
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.21-22, 2007-03-20

Music has the beneficial effects in human mind and body. The fact that after the interpretation of arts, neurons in the brain cells grow remarkably has been reported recently. It has been evident to the education that the arts aid in promotion of leaning. The songs of formulae and terms in the area of electrical and electronic engineering relieve beginners of the burden to memorize those. This paper shows three original songs. The titles are the component parts of electric circuits, the solutions of quadratic equation, Laplace transform respectively.
著者
野沢 純一
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.23-24, 2008-03

The author has proposed the paper that included the original songs of formulae and terms in the area of electrical and electronic engineering. Music tends to be connected with the long-term memory, and the effect is reported in the musical therapy. The musical activities are performed by the right brain predominance. The use of the songs in the lesson achieves the balance of the brain activity. This paper shows three original songs. The titles are the source of electromagnetic fields, Euler's formula, Fourier transform respectively.
著者
大須 泰治 吉田 弘法 岡村 輝一 小西 裕之 小林 敏孝
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.47-52, 2003-03-18

In order to understand the effects of an athlete's sleep behavior upon their game results. the relationship between athlete's sleep-wakefulness rhythm and their game results were estimated by both the sleep log and the questionnaire for sleep (named OSA sleep inventory). 24 male gymnasts (aged 20.5±1.32 year) participated in this study. Their results of the games were collected from the following competitions; the international DTB Cup 2000(Germany, December, 2000.), The 54th All Japan Gymnastics Championships in Sendai 2000, The 55th All Japan Gymnastics Championships in Kochi 2001, The 33rd Tohoku and Hokkaido University Gymnastics Championships in Sendai 2000. An athlete, whose subjective sleep length at the night before the game were similar or longer when compared with the average subjective sleep length of the nights from one week age to two days before a game, received good results in their game. An athlete, whose subjective sleep length at the night before the game were shorter than the average subjective sleep length in the week before a game, therefore they could not get good results in their game. An athlete, whose subjective sleep feeling al the night before the game was better than the average subjective sleep feeling in the week, hence they also received good results in their games. These results suggest that their stability of the sleep-wakefulness rhythm and a good subjective sleep feeling are closely related to their game results.
著者
石田 拓也 松本 直文
出版者
足利工業大学
雑誌
足利工業大学研究集録 (ISSN:0287086X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.71-78, 2007-03-20

In this paper, it aims to construct a tele-baptic VR system that does not cause sense of incompatibility between users who share sense of touch. First, we constructed the system that caused the network delay and packet shortage. In this system, we changed a variety of set numerical values and experimented. In the experiment, we confirmed that the network congestion problem had been solved by a data compensation method. Next, we constructed the system using a haptic device PHANToM for the VR system. We constructed the system that can do tele-hatics sharing haptic by way of the Internet. Finally, we conducted a preliminary experiment concerning the cooperation working and remote teaching on this system. In the experiment, we confirmed the effectiveness of the tele-haptic system.