- 著者
-
山本 堅一
- 出版者
- 北海道社会学会
- 雑誌
- 現代社会学研究 (ISSN:09151214)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, pp.41-57, 2023 (Released:2023-08-01)
コロナ禍をきっかけに,世界中でオンライン授業の普及が進んだ。学生を教
室に集めて対面で授業を行うことは,リスクがあったからだ。オンライン授業
をやってみると,意外と良いなと感じている教員,学生がいれば,やはり対面
の方が良いと感じている教員,学生もいる。
オンライン授業を2年経験し,ある程度コロナ禍が落ち着いてきた中で,わ
れわれが進むべき道が目の前で二つに分かれている。コロナ禍以前の対面授業
に戻すか,オンライン授業の活用を継続するか,である。前者は平坦な,後者
は険しい道である。
オンライン授業を活用したこの2年間,さまざまな課題が噴出したのは確か
である。その一方で,やはり授業は対面でなければいけない,という確たる根
拠も出てきていない。しかしながら,オンラインは止めて対面に戻そうという
動きの方が強いように感じられる。
本稿では,オンライン授業の実践例,北海道大学の学生と教員に取ったオン
ライン授業に関するアンケート調査結果を紹介し,オンライン授業の可能性に
ついて考察した。解決が難しい課題はあるものの,オンライン授業は部分的に
でも継続していくべきである,ということは示されたのではないだろうか。特
に,講義形式の授業においては,オンライン授業を活用することで,学習者中
心の授業へと転換しうるという点は,教育効果と共に検証が期待される論点と
なった。