著者
山本 将平 外山 大輔 杉下 友美子 金子 綾太 岡本 奈央子 小金澤 征也 藤田 祥央 秋山 康介 磯山 恵一
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.182-186, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
8

小児がん患者家族の会(以下家族の会)は,がんの子どもを持つ同じ境遇の家族からなる自助グループであり,各小児がん診療施設に存在している.医療者とは独立した組織であり,家族にとって心強い存在であるにも関わらず家族の会がない施設も多数みられる.家族の会の立ち上げ,運営を企画する有志の家族がいないことが理由として考えられている.我々は,医師の声かけによって家族の会を立ち上げた.医師から直接,数名の家族に家族の会の幹事をお願いする方法で幹事を決定した.家族の会立ち上げ準備会で会の詳細を決定し,発案から3か月で家族の会を開催することができた.会の立ち上げには医師が関わったが,その後の運営には医師,看護師などの医療者は関与していない.家族の会の定期的な開催には,開催場所の確保,対象家族への案内が必須であり医療者の理解と協力が必要である.家族の会の立ち上げが医療者の声かけによってなされることでお互いの良好な関係が構築できる利点がある.また,これにより,家族の会がピアサポーターとして患者家族と医療者の橋渡し的な存在となりうる.本方法による家族の会の立ち上げは,今後,家族の会の立ち上げを考えている施設のモデルケースとなりうるためここに報告する.