- 著者
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山崎 祐未子
田村 啓敏
山本 弘幸
秋光 和也
- 出版者
- 日本植物病理学会
- 雑誌
- 日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.1, 2003-02-25
先の全国大会で,揮発性モノテルペン化合物であるシトラール,シトロネラール,リナロールが非病原性Alternaria alternata (O-94)胞子の菌糸伸長と発芽を抑制することを示した.今回は,これら揮発性物質の作用機構を解明するための第一歩として,これらの物質の作用が殺菌作用か,または菌糸伸長を抑制する制菌作用であるかを検討した.揮発性物質で胞子を6時間処理し,その後揮発性物質を取り除いた状態で18時間静置すると,24時間揮発性物質を処理し続けた場合に比べ,胞子発芽率・菌糸伸長率ともに上昇した.しかし,シトラール処理区では,約40%の胞子の発芽率が回復しなかった.次に,胞子を2時間無処理の状態で静置して菌糸を一度伸長させた後,22時間揮発性物質を処理すると,いずれの物質も菌糸伸長を抑制した.以上の結果は,これら3つの揮発性物質は制菌的な菌糸伸長抑制作用を持ち,シトラールについては抗菌活性も保持することを示唆した.現在,GCおよびGC/MS分析によりラフレモン葉から揮発するモノテルペン化合物の種類の特定を進めている.