著者
中西 謙二 田村 啓敏 杉沢 博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.259-266, 1996-03-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

生タケノコ及び水煮タケノコの揮発成分を明らかにするため,ヘッドスペース法(HSV法)と溶媒抽出法により揮発成分を分離濃縮し,GC及びGC-MS分析を行った.得られた濃縮物は,HSV法が軽い広がりのある香り,溶媒抽出法が濃厚な重い香りを示し,いずれもタケノコの特徴を呈していた.HSV法では生タケノコから23種,水煮タケノコから31種の化合物を,溶媒抽出法ではそれぞれ70種,60種の化合物を同定又は推定した.生タケノコの主要な揮発成分は低沸点部では直鎖状C6アルコール及びアルデヒド類であり,高沸点部ではサリチル酸エステル類であった.水煮タケノコについては,低沸点部が硫化メチル,3-メチルフランで高沸点部が芳香族のアルデヒド,アルコール及び窒素化合物であった.
著者
杉沢 博 田村 啓敏 中原 一晃
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.709-712, 1988-10-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
5
被引用文献数
3 5

GC/MSによる揮発成分の同定に保持指標Kovats Indexを補助手段として活用すると,同定はかなり容易になる.現在手持ちのデータ処理装置(市販のCR 3AそれぞれC-R 2A)の持つBASICプログラム機能を活用して,自動的かつ連続的にKI値を計算,出力させるプログラムを開発した.このプログラムを一部変更すれば, BASICプログラム機能をもつ他の機種にも応用できる.この方式によれば, KI値計算のためコンピュータやインターフェースなども不要であり,また,データ処理装置のほかの機能にも支障はない.
著者
田村 啓敏
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究成果は次の4点である。1)迅速な機能成分の単離法として、QuEChERS法を開発できた。2)サツマイモでは、鳴門金時芋が強い活性を示し、玉ねぎでは、香川産のものが高い活性を示し、活性物質はquercetin 4’-glucosideであると明らかにした。タイ産のサツマイモの活性は弱かった。3)抽出物の活性試験結果と各成分の濃度との相関をPeason’s correlation coefficientにより計算し、高い相関値から機能成分の選抜ができた。4)調理過程で抗アレルギー活性が変化しない、あるいは煮沸により活性が高まることがあることがわかり、調理が機能増進に役立つことが分かった。
著者
山崎 祐未子 田村 啓敏 山本 弘幸 秋光 和也
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25

先の全国大会で,揮発性モノテルペン化合物であるシトラール,シトロネラール,リナロールが非病原性Alternaria alternata (O-94)胞子の菌糸伸長と発芽を抑制することを示した.今回は,これら揮発性物質の作用機構を解明するための第一歩として,これらの物質の作用が殺菌作用か,または菌糸伸長を抑制する制菌作用であるかを検討した.揮発性物質で胞子を6時間処理し,その後揮発性物質を取り除いた状態で18時間静置すると,24時間揮発性物質を処理し続けた場合に比べ,胞子発芽率・菌糸伸長率ともに上昇した.しかし,シトラール処理区では,約40%の胞子の発芽率が回復しなかった.次に,胞子を2時間無処理の状態で静置して菌糸を一度伸長させた後,22時間揮発性物質を処理すると,いずれの物質も菌糸伸長を抑制した.以上の結果は,これら3つの揮発性物質は制菌的な菌糸伸長抑制作用を持ち,シトラールについては抗菌活性も保持することを示唆した.現在,GCおよびGC/MS分析によりラフレモン葉から揮発するモノテルペン化合物の種類の特定を進めている.