著者
柴田 幸子 伊藤 裕之 山本 梓 行田 佳織 尾本 貴志 篠崎 正浩 西尾 真也 阿部 眞理子 当金 美智子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.885-892, 2014-12-30 (Released:2015-01-14)
参考文献数
31

分割食で栄養指導を行ったのちに持続血糖測定(CGM)を施行した妊娠糖尿病44例(32±4歳,妊娠週数:24±5週)を対象とし,血糖,ケトン尿に影響する因子を検討した.摂取熱量と栄養素はCGM時に行なった食事記録より算出した.指示熱量に対する摂取熱量比は88±17 %であった.摂取熱量中の糖質の比率は46±10 %で,60 %以上の糖質過剰摂取は13例(30 %)にみられた.蛋白質,脂質の摂取熱量比率は17±3 %と37±9 %であった.CGMで高血糖を示した例は14例(32 %)で,高血糖の無かった群に比し,糖質の過剰摂取例が有意に高頻度であった(64 % vs. 13 %).栄養指導後にケトン尿を呈した6例においては,指示に対する摂取熱量比(69±10 %)が,ケトン尿を示さなかった例(91±17 %)に比し有意に低値であった.妊娠糖尿病の栄養指導に際しては,摂取熱量のみならず糖質への配慮が重要と思われた.