著者
佐藤 良三 鈴木 伸洋 柴田 玲奈 山本 正直
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.689-694, 1999-07-15
被引用文献数
6 10

瀬戸内海・布刈瀬戸の産卵場周辺の三原市幸崎沖で, ディスク標識を装着した197尾のトラフグ親魚を1994年と1995年の5月中旬に放流した。瀬戸内海では放流後6カ月以内に計14尾が再捕されたが, 多くは放流直後に周辺海域で再捕され, 以後西方の海域へ移動した。外海域では放流1∿22カ月後に11尾が玄界灘∿黄海, 志布志湾などで再捕された。翌年の産卵期に布刈瀬戸の産卵場周辺海域で計10尾が再捕され, 走島沖の2尾を除き, 他の産卵場と関係した再捕報告はなかった。この2尾が備讃瀬戸へ回遊した可能性はあるが, 布刈瀬戸への回帰性も否定できない。以上の結果から, トラフグは産卵場への回帰性を有すると判断された。