著者
黄 彩実 來間 愛里 和形 麻衣子 山本 瑠美子 川口 晴菜 山本 亮 林 周作 石井 桂介
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.84-90, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
21

目的:一絨毛膜二羊膜(MCDA)双胎のSelective intrauterine growth restriction,Type Iの予後不良例の頻度と臨床的特徴を検討する. 方法:妊娠26週未満のType Iを対象とした後方視的コホート研究である.主要評価項目は妊娠あたりの予後不良(死亡[流産,胎児・新生児死亡])の頻度とした.副次評価項目は,急速遂娩を要する胎児機能不全,予期せぬ胎児死亡,MCDA双胎特有の合併症の頻度とした. 結果:40例において,予後不良は両児新生児死亡1例,smaller twinの胎内死亡3例の計4例(10%)であった.胎児機能不全,予期せぬ胎児死亡,およびMCDA双胎特有の合併症は,それぞれ10例(25%),1例(2.5%),17例(42.5%)であった. 結論:Type Iの予後不良は10%であり,さらに全体の約半数は特別な管理を要した.
著者
山本 瑠美子 林 周作 光田 信明 石井 桂介
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.257-262, 2021 (Released:2021-09-06)
参考文献数
10

目的:分娩直前の遷延一過性徐脈または胎児徐脈(以下,直前徐脈と呼称)の新生児アシデミアに対する診断特性を明らかにし,胎児心拍数陣痛図所見の付加による診断特性の変化を検討する. 方法:当院2年間の正期産単胎症例を対象とし,分娩30分前までの直前徐脈の新生児アシデミア(臍帯血pH<7.2)に対する診断特性を算出した.さらに多変量ロジスティック回帰分析で新生児アシデミアに関連する胎児心拍数陣痛図所見を抽出し,その所見を加えた場合の診断特性も算出した. 結果:解析対象2,480例中362例に直前徐脈を認め,直前徐脈の新生児アシデミアに対する陽性的中率は17.7%だった.直前徐脈前の頻脈とレベル≧4,直前徐脈の時間≧6分と細変動減少が新生児アシデミアと関連し,これらの付加により陽性的中率は上昇した. 結語:直前徐脈の新生児アシデミアに対する陽性的中率は胎児心拍数陣痛図所見を加えることにより向上した.