著者
山本 顕一郎 加藤 昭夫 清山 哲郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.1092-1096, 1967-07-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
7

リン酸カルシウム塩(メタ,ピロ,オルトおよびアパタイト)に炭素を混合し,塩素を作用させてオキシ塩化リンを生成する反応を400~1000℃の温度で行なった。リン酸カルシウム塩よりオキシ塩化リンの生成は比較的低い温度ではCaO/P2O5比の異なるメタ,ピロ,オルト塩でその収率が異なり,CaO/P2O5比の小さい塩ほど反応性は大きい。700℃ ではいずれの塩もほぼ同じ収率を示し,約85~93%である。またアパタイト類はオルト塩と同じ挙動を示す。800℃ 以上ではPCl5の生成が認められ,温度の上昇とともに生成量は増す一方,POCl3は減少する。この場合に考えられる反応について熱力学計算を行ない,その反応径路を論じた結果, 中和度の高いオルト, あるいはピロ塩はCaO/P2O5比のより小さいメタ塩に移行し, ついでP2O5を生じ, オキシ塩化リンを生成することを推定した。添加物としてSiO2を使用するとその触媒作用によってオキシ塩化リンの収率は向上する。