著者
長谷 昌紀 羽山 誠 山添 昇 清山 哲郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.1633-1637, 1967-10-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
20
被引用文献数
4

X線回折(粉末法)によって硝酸アンモニウムの各結晶相の安定領域および準安定領域における格子定数および熱膨張を測定した。各相の熱膨張の異方性は結晶構造における硝酸イオンの方位と強い関連性を示し,硝酸イオンの回転振動の寄与を考えると理解できる。各安定転移およびIV-II準安定転移は体積変化のとびを伴い1次転移である。一方V-II転移では格子定数(V相はII相の単位格子に対応する準単位格子を用いる)の不連続的変化は認められない。しかしc軸の熱膨張率は不連続的に変わることを明らかにしたので,比熱の測定結果も併せ考えるとV-II転移は2次転移である。実験結果にもとづき硝酸アンモニウムの相転移を水素結合の観点から考察した。
著者
山本 顕一郎 加藤 昭夫 清山 哲郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.1092-1096, 1967-07-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
7

リン酸カルシウム塩(メタ,ピロ,オルトおよびアパタイト)に炭素を混合し,塩素を作用させてオキシ塩化リンを生成する反応を400~1000℃の温度で行なった。リン酸カルシウム塩よりオキシ塩化リンの生成は比較的低い温度ではCaO/P2O5比の異なるメタ,ピロ,オルト塩でその収率が異なり,CaO/P2O5比の小さい塩ほど反応性は大きい。700℃ ではいずれの塩もほぼ同じ収率を示し,約85~93%である。またアパタイト類はオルト塩と同じ挙動を示す。800℃ 以上ではPCl5の生成が認められ,温度の上昇とともに生成量は増す一方,POCl3は減少する。この場合に考えられる反応について熱力学計算を行ない,その反応径路を論じた結果, 中和度の高いオルト, あるいはピロ塩はCaO/P2O5比のより小さいメタ塩に移行し, ついでP2O5を生じ, オキシ塩化リンを生成することを推定した。添加物としてSiO2を使用するとその触媒作用によってオキシ塩化リンの収率は向上する。