著者
山浦 潔 伊藤 文就 池田 修 長谷川 匡俊
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.92-96, 2008-03-01 (Released:2014-06-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

汎用的樹脂ポリエチレンテレフタレート(PET)上にインジウム-錫酸化物(ITO)を被覆した導電性透明フィルムに紫外線を照射し,PETの劣化に対するITOの影響を調べた。試料は劣化による重量減少を示し,ITOで被覆されたPETフィルムの重量減少率はPETフィルム単独の場合を上回っていた。さらに,XPSの測定結果はITOとの界面でPETフィルムが分解している事を示した。両結果とも,ITOによる分解促進を示唆する結果である。また,可視紫外光の照射によるITO及びTiO2電極の電位変化を水溶液中で測定したところ,照射によって電極電位は両者とも卑電位方向に変化した。これらの結果から上述のPETの分解がITOの光触媒的な作用(酸化)である可能性がある。この作用を考慮し,エポキシ樹脂接着剤を用いて接着したITOと樹脂フィルムに紫外光照射を行ったところ,接着強度にもITOの影響が観察された。