- 著者
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田中 宏明
小原 真美
高田 健治
山田 啓子
生井 友農
山縣 邦弘
- 出版者
- The Japanese Society for Dialysis Therapy
- 雑誌
- 日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.6, pp.395-400, 2008-06-28
- 被引用文献数
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3
1
72歳,男性.糖尿病性腎症による慢性腎不全にて維持血液透析を施行されていた.2006年1月歯周炎にて近医で抜歯されたが,その後左頸部の強い疼痛が出現し2月1日当院受診.頸部CT検査でガス産生蜂窩織炎と診断し,同日緊急で切開排膿術を施行した.膿の培養で<I>Streptococcus anginosus/milleri</I>と<I>Prevotella intermedia</I>を検出し,非クロストリジウム性蜂窩織炎と診断した.γ-グロブリン製剤投与に加えて,ABPC/SBT 3g/日,CLDM 1,200mg/日連日投与,および1日3回の創洗浄を行い,2月13日,壊死組織の除去,創閉鎖術および,抜歯・腐骨除去術を施行した.術後も創洗浄の継続にて排膿量は減少し,培養検査も陰性化したため,3月9日ドレーンを抜去した.左側頭部痛,頸部・顎下部の腫張は速やかに改善,経口摂取も可能となり3月10日退院した.退院1か月後のCTでは,abscessは消失していた.歯周炎から蜂窩織炎を発症した血液透析症例で,糖尿病合併などcompromised hostであったために重篤と思われたが,早期の切開排膿と適切な術後管理により救命しえた.