著者
飯塚 政弘 千葉 満郎 五十嵐 潔 堀江 泰夫 正宗 研 山田 暢夫
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1244-1249, 1989 (Released:2009-10-16)
参考文献数
22

末梢型関節炎がみられた潰瘍性大腸炎2症例について, 関節炎の推移を大腸亜全摘との関連において検討した.症例1 : 21歳, 女性.全大腸炎型, 再燃緩解型, 中等症.13歳時潰瘍性大腸炎発症.再燃緩解を繰り返した.18歳時より右膝関節を主とした多関節炎発現し消長を繰り返した.21歳時, 潰瘍性大腸炎に対し内科的治療の限界と判断し, 全結腸切除兼回腸瘻造設術を施行したが, 関節炎は術後も再発した.症例2 : 29歳, 男性.全大腸炎型, 慢性持続型.16歳時潰瘍性大腸炎発症.25歳時重症となり, 全結腸切除回腸直腸吻合術施行.術後も残存直腸に再燃がみられた.28歳時左股関節痛, 左膝関節炎発現残存直腸は活動期であったが, 左膝関節炎は約6カ月後に消失した.すなわち2症例とも難治例であり, 症例1は大腸亜全摘後も関節炎は再発し, 症例2は大腸亜全摘後に関節炎が出現した。関節炎の再発, 発症に大腸粘膜の残存が強く関与していることが示唆された.