著者
吉村 耕治 山田 有子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3+, pp.114, 2018-05-01 (Released:2018-07-17)
参考文献数
8

節分で頻繁に登場する鬼は,主に赤鬼と青鬼で,鬼の種類が多い場合には,黄(あるいは白),綠,黒の鬼が存在する.鬼の色は,地域によっては赤・青・黄や,赤・緑・黒という3鬼のところもあり,赤の頻度が最も高い.人生には「陰陽」がある.その陰の部分から,鬼が発生しており,日本では怪物のイメージから自然界にある主要な5色を利用して鬼が描写されている.それに対して,現代中国では「死者の魂」の意から「幽霊」のイメージが強く,怖いモノと考えられ,色で表現されないことが多い.鬼の5色は仏教や五行説と密接な関係がある.仏教の五色とは,青・赤・黄・白・黒で,青の代わりに緑,黒の代わりに樺色や紫が使われることがある.仏教を象徴する旗の国際仏旗は,左から青,黄,赤,白,橙,一番右の列には5色を上から順番に並べた縞模様となっており,それらの色にはそれぞれ意味が込められている.鬼はらいの儀式では平安京大内裏の外郭の十二の門に,青い土牛童子(以下,土偶)は東の門に,赤い土偶は南の門,黄色い土偶は東西南北の門,白色の土偶は西の門,黒色の土偶は北の門に立てられたと言及されている.陰陽五行説の五色が基本色になっている.
著者
吉村 耕治 山田 有子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3+, pp.47, 2019-05-01 (Released:2019-07-06)

紅の訓読み「くれなゐ」は,「呉(くれ)」という国の「藍(あゐ)」(藍は染料の総称)の意で,中国から渡来した染料を意味する.紅は,紅花の汁で染めた赤色,つまり,鮮明な赤色を意味し,藍色ではない.中国では赤色が「めでたい色」として有名であるが,「紅白」という表現には特に「めでたい」という意味はなく,「吉事と凶事」を意味する.日本では古くから,日常(ケ)と非日常(ハレ)を区別する感性が見られ,紅白は中心の意味としてハレ(非日常)を象徴していることが多い.紅白の梅が,草木がよみがえる陰暦二月に咲くことにより「めでたさ」に繋がったという考えや,赤と白は天上界の色とする考えが,紅白のめでたさに繋がっている.紅白の意味と用法は,祝い事・めでたさが中心的意味の場合と,「対向する二つの配色」が中心的意味の場合の二種類に大別できる.「めでたさ」を表す場合には,必ず「紅白」が用いられるが,「対向する二つの配色」が中心的意味の場合は,赤白が用いられることがある.「紅白」の「紅」には,本来の「紅」だけでなく,「赤」の意味の場合もある.この意味の豊かさ・精神性と多義性に,日本語の色彩語の特性が反映されている.
著者
吉村 耕治 山田 有子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, 2018

<p> 節分で頻繁に登場する鬼は,主に赤鬼と青鬼で,鬼の種類が多い場合には,黄(あるいは白),綠,黒の鬼が存在する.鬼の色は,地域によっては赤・青・黄や,赤・緑・黒という3鬼のところもあり,赤の頻度が最も高い.人生には「陰陽」がある.その陰の部分から,鬼が発生しており,日本では怪物のイメージから自然界にある主要な5色を利用して鬼が描写されている.それに対して,現代中国では「死者の魂」の意から「幽霊」のイメージが強く,怖いモノと考えられ,色で表現されないことが多い.鬼の5色は仏教や五行説と密接な関係がある.仏教の五色とは,青・赤・黄・白・黒で,青の代わりに緑,黒の代わりに樺色や紫が使われることがある.仏教を象徴する旗の国際仏旗は,左から青,黄,赤,白,橙,一番右の列には5色を上から順番に並べた縞模様となっており,それらの色にはそれぞれ意味が込められている.鬼はらいの儀式では平安京大内裏の外郭の十二の門に,青い土牛童子(以下,土偶)は東の門に,赤い土偶は南の門,黄色い土偶は東西南北の門,白色の土偶は西の門,黒色の土偶は北の門に立てられたと言及されている.陰陽五行説の五色が基本色になっている.</p>
著者
吉村 耕治 山田 有子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3+, pp.40-43, 2017-05-01 (Released:2017-10-07)

詫び・寂びは,決して過去の芸術作品のみに見られる美意識ではない.21世紀の現在でも,日本文化の基盤を形成している.一般的には,簡素の中にある落ち着いた寂しい感じや,枯淡の境地を表すと考えられているが,その根底には,この世のはかなさや人生のはかなさを感じる無常観が存在している.単に仏教の無常観だけではなく,無常であるがゆえに美しいと感じる美意識(徳)が内包されている.木,土,石,わら,竹などの自然の素材を大切にし,素朴で簡素な原始的芸術の要素を含んでいる.侘び茶を完成させた千利休は,一期一会の精神や心で感じる美しさを大切にしながら自然の造形を活用し,自然界の色合いになじませつつ茶会の道具や懐石,茶室の部分に工夫を凝らすことにより,侘び・寂びの美と心を体現している.侘びの妙喜庵と秀吉の黄金の茶室とは,対極にあるように見えるが,実は不可分で相補的関係にある.侘び・寂びの美意識は,知足の心や風流心の大切さを暗示し,その色彩とは,自然界の素材の色を活用することから,色みや清色を否定し,草木の香りのする簡素な色彩美で,ブラウン(茶色)系やグリーン(緑)系を中心にした渋みのある中間色を表している.
著者
吉村 耕治 山田 有子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3+, pp.204, 2020-05-01 (Released:2021-09-06)
参考文献数
2

新しい色名は,いつの時代でも創られている.21世紀の日本車の新色名に,「グロリアスグレーメタリックモリブデン鸞鳳(らんぽう)」や「デミュアーブルーマイカメタリックモリブデン瑞雲(ずいうん)」がある.これらは最高級車センチュリーの色名で,その塗装には日本の伝統工芸の漆塗りを参考に,層を重ね,研ぎと磨きを加えることで奥深い艶や輝きが追求されている.そして,敢えてカタカナと漢字を併用することによって,高級感が表出されている.その他にも,「シリーンブルーマイカ摩周(ましゅう)」や「ブラッキッシュレッドマイカ飛鳥」などもある.四季や時の移り変わりによる景色の変化が,車のボディカラーにも表現されており,トヨタのジャパンカラーセレクションパッケージ(12色)には,「紅,仄(ホノカ),茜色,天空(ソラ),群青,紺碧(アオ),白夜(ビャクヤ),翡翠(ヒスイ),常磐色(トキワイロ),胡桃(クルミ),黒曜,白光」が用いられている.21世紀になってから,「白夜,白光,夜霞」なども車のボディカラーとして採用され,「エモーショナルレッド」や「アティチュードブラックマイカ」のような感情を表出する色名が増加している.
著者
吉村 耕治 山田 有子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, 2020

<p> 新しい色名は,いつの時代でも創られている.21世紀の日本車の新色名に,「グロリアスグレーメタリックモリブデン鸞鳳(らんぽう)」や「デミュアーブルーマイカメタリックモリブデン瑞雲(ずいうん)」がある.これらは最高級車センチュリーの色名で,その塗装には日本の伝統工芸の漆塗りを参考に,層を重ね,研ぎと磨きを加えることで奥深い艶や輝きが追求されている.そして,敢えてカタカナと漢字を併用することによって,高級感が表出されている.その他にも,「シリーンブルーマイカ摩周(ましゅう)」や「ブラッキッシュレッドマイカ飛鳥」などもある.四季や時の移り変わりによる景色の変化が,車のボディカラーにも表現されており,トヨタのジャパンカラーセレクションパッケージ(12色)には,「紅,仄(ホノカ),茜色,天空(ソラ),群青,紺碧(アオ),白夜(ビャクヤ),翡翠(ヒスイ),常磐色(トキワイロ),胡桃(クルミ),黒曜,白光」が用いられている.21世紀になってから,「白夜,白光,夜霞」なども車のボディカラーとして採用され,「エモーショナルレッド」や「アティチュードブラックマイカ」のような感情を表出する色名が増加している.</p>