著者
山田 紀史 前川 直也
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.124_2, 2019

<p> 野球の内野手の送球ミスの発生および目標からのバラツキがなぜ生じるかを、捕球・送球動作中に認知課題を課すデュアルタスクを用いて解明することを試みた。実験は10名の大学野球部員を対象にし、前方12mにある3つの目標点へ送球し、ボールの当たった位置と送球動作を2台の高速度カメラを用いて撮影した。その際、目標を事前に告げるコントロール試技、捕球時と捕球から送球への切替時に目標を告げそこへ送球する整合試技とその逆へ送球する不整合試技を行なった。</p><p> 目標からのバラツキは、ボールが当たった座標を主成分分析における第一主成分軸に変換し、そこでのバラツキで評価した。なお、目標点から0.5m以上離れた試技を失敗試技とした。その結果、コントロール試技、整合試技、不整合試技の順にバラツキと失敗の発生割合の増加、および送球時間の増加がみられた。よって、捕球・送球動作中に認知課題が課されると捕球動作の時間が延び、送球動作が変化する。その変化により、コントロールの精度が低下し送球ミスが発生する可能性があり、認知課題が課されるタイミングが遅いほどその影響が大きいと考えられる。</p>