著者
山田 順之 小池 淳司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00021, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
14

我が国の国土政策は,国土の均衡ある発展を目指して進められてきたが,地方の人口減少と並行する形で都市への人口集中が続いており,地方における担い手不足や経済の停滞などが大きな課題となっている.一方,EUは我が国と比較して地方の人口減少を緩和させている.この要因の一つとして,中山間地域の主要産業である農業に対する政策の差異が考えられる.EUでは農業政策においても国土政策的な視点から地域の隔たりなく,営農に加え教育や医療へのアクセスなども確保する政策,つまり全国民が満たすべき基本的権利を尊重した政策を講じ地域間格差是正や地方への人口定着を図っている.本研究では既往研究からEUの農業政策を分析し,我が国との比較を通して,国土政策の推進に有益となる施策や枠組みを新たな視点で検討・提案した.