著者
山谷 洋樹 鈴木 誠
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.359-368, 2012-11

本研究は,男女や地域による生命観の違いを明らかにすることを目的とする。筆者らが開発及び改良した生命観測定尺度を用いて,小学校6年生,中学校2年生を対象に,生命観を構成する生物概念及び生命概念の各下位概念に含まれる項目平均値を下位尺度得点として求めた。その結果,次のことが明らかとなった。1 生命観には男女間で,両学年の「アニミズム」「命」の数値は女子の方が男子に比べて有意に高く,都市部に住む中学校2年生並びに農村部に住む両学年で女子の方が男子に比べて「命」の数値は有意に高くなるという差がみられた。また,中学校2年生では,女子の方が男子に比べて有意に高い得点を示す下位概念の数が多くなるという差がみられた。2 生命観には地域間で,都市部の方が農村部に比べて有意に高い得点を示した下位概念を含む上位概念は,小学校6年生では生命概念であり,中学校2年生では生物概念であるという差が見られた。両学年の男子では,都市部の方が農村部に比べて「機械論」の数値が有意に高いという差がみられ,地域を取り巻く環境の差が要因になっていると考えられる。