著者
坂口 賀基 山道 信毅 藤城 光弘
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.119, no.2, pp.103-111, 2022-02-10 (Released:2022-02-10)
参考文献数
72

非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍は,主に家族性大腸ポリポーシス由来と特発性に大別される.Wnt pathwayが腺腫発生から発癌初期の中心的役割を担い,特発性でもAPC変異自体の頻度が低いもののWnt pathway異常活性化が80%に認められる.またWnt pathway異常活性亢進に加え,さらに別の発癌関連遺伝子の異常も発癌に必要とするmulti-hit theoryが有力視され,大腸癌adenoma carcinoma sequenceと類似する点が多い.一方で胃型粘液形質に特異的なGNAS変異も確認されている.また十二指腸癌独自の発生機序が存在する可能性もあり,さらなる研究が必要である.