著者
岡田 翔一 田川 知嘉 鈴木 直人 樋口 貞行 片貝 富夫 山野辺 浩
出版者
日本家畜臨床学会
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.7-11, 2018 (Released:2018-10-02)

酵母細胞壁混合飼料は成牛および育成牛において抗ストレス作用が期待されており,寒冷地における子牛の発育増進に寄与する可能性がある。本研究では,寒冷期の子牛25頭を,酵母細胞壁混合飼料を給与する試験群13頭と給与しない対照群12頭とに分け,試験期間中のTemperature-Humidity Index(THI)を算出するとともに,体重測定および血液生化学性状検査を行った。THIは子牛が寒冷ストレスを受ける可能性が高い数値である50を下回る期間が長く,平均値は49.8であった。試験群と対照群の間で,試験期間内での増体に有意な差はなかったが,酵母細胞壁混合飼料給与から30日目に,対照群と比べ試験群の血清中ビタミンA濃度の有意に高い値を示した。酵母細胞壁混合飼料は寒冷ストレスによる影響を低減させることで,子牛の成長に伴う血清中ビタミンA濃度の上昇を維持することが示唆された。