著者
岡中 正行
出版者
帝京平成大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、課題名「中島広足全歌集の編纂とその研究」が示すとおり、中島広足の全歌集を編纂し、その研究を行うことを目的とした。そのために、基礎となる資料の調査・収集を研究成果報告書の「はいがき」に記した関係所蔵機関および個人宅で行った。調査・収集した資料の目録は、第I部の「中島広足著作目録」としてまとめたが、今回の調査で初めてその存在が確認されたものも多く含んでいる。当然ことながら、活字化されていないものが多いわけである。調査・収集と平行して、それらの未翻刻の資料(特に和歌に関するもの)の翻刻作業と、書誌的研究を中心とした研究を行った。それらの一部については、既に研究紀要等に発表した。「研究発表」の6〜10がそれである。既に発表の資料の他に、『中島広足全歌集』を編纂するための多くの資料が存在するが、それらの翻刻はほぼ終えている。本報告書において、それらのすべてを掲載することは量的に無理があるので、その一部を掲載した。近いうちに『中島広足全歌集』として刊行し、それを基にして広足の和歌の、多面的・詳細な研究を行い、歌人中島広足を和歌史上に位置付けたいと考えている。ところで、広足には今回研究テーマにした「和歌」以外の、膨大な量の資料が存在する。それは「中島広足著作目録」のよっても理解されるだろう。それらの一部は、弥富浜雄氏によって『中島広足全集』(全2巻、昭和8年4月、大岡山書店)として刊行されているが、不十分なものである。江戸時代後期の国学の展開を研究する上で、今後さらに未収集の資料を発掘した上で、これらの資料の全てを翻刻し、新たな『中島広足全集』を編纂することは意義のあることであろう。