著者
中島 弘二 田邉 昭仁 岡内 省三 早川 尚雅 久野 裕輝 高田 景子 元佐 慶子 小西 由記 羽井 佐裕子 桶口 三香子 萬納寺 聖仁 矢部 博樹 大本 明義 三澤 眞人
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.551-559, 2013 (Released:2013-09-07)
参考文献数
29

HbA1c(NGSP)8.4 %以上の174名の2型糖尿病患者に9日間の短期強化インスリン療法(Short-Term Intensive Insulin Therapy以下STIIT)を行い糖毒性解除の解析をした.STIIT後ボグリボース・メトホルミンを基本薬とする未治療群74名・既治療群64名(以下未群・既群)の2年間の効果を比較した.STIITは血糖値,高感度CRP, HOMA-IR, HOMA-βを有意に改善した.STIIT前(以下前)HbA1cが前_血糖値に正相関し,前_HOMA-βおよび糖尿病罹病期間(以下罹病期間)に逆相関した.STIIT施行3ヶ月後のHbA1cは罹病期間に正相関し,患者本来の糖尿病状態を反映した.未群のほうがHbA1cは高いが6ヶ月後のHbA1c 6.9 %未満達成率は有意に高かった(未群66 %,既群30 %).多重ロジスティック回帰分析で未群・既群と罹病期間は独立してHbA1cの目標達成に貢献した.既群でコントロール不良な患者のなかにもβ細胞機能が温存された例もあった.コントロール不良患者では早期に糖毒性を解除しβ細胞に負担をかけない治療で糖毒性を再発させないことが大切である.
著者
阿武 孝敏 柱本 満 田邊 昭仁 中嶋 久美子 岡内 省三 亀井 信二 松木 道裕 宗 友厚 加来 浩平
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.292-297, 2013 (Released:2013-06-07)
参考文献数
15

2009年に上市されたDipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬は,2型糖尿病薬物療法の選択肢の一つとして,その使用が急速に拡大している.一方,DPP-4はリンパ球やマクロファージ上に発現しているCD26と同一分子であるため,DPP-4阻害薬が免疫系に影響する可能性が以前より指摘されていた.今回我々はシタグリプチン投与が原因と疑われる薬剤熱の症例を経験した.発熱と同期して初期の炎症マーカー(IL-1β,IL-6,TNF-α)とCRPの上昇を認め,シタグリプチン投与が,マクロファージを介して初期の炎症性サイトカイン産生を亢進させ,薬剤熱を発症した可能性が示唆された.