著者
阿武 孝敏 柱本 満 田邊 昭仁 中嶋 久美子 岡内 省三 亀井 信二 松木 道裕 宗 友厚 加来 浩平
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.292-297, 2013 (Released:2013-06-07)
参考文献数
15

2009年に上市されたDipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬は,2型糖尿病薬物療法の選択肢の一つとして,その使用が急速に拡大している.一方,DPP-4はリンパ球やマクロファージ上に発現しているCD26と同一分子であるため,DPP-4阻害薬が免疫系に影響する可能性が以前より指摘されていた.今回我々はシタグリプチン投与が原因と疑われる薬剤熱の症例を経験した.発熱と同期して初期の炎症マーカー(IL-1β,IL-6,TNF-α)とCRPの上昇を認め,シタグリプチン投与が,マクロファージを介して初期の炎症性サイトカイン産生を亢進させ,薬剤熱を発症した可能性が示唆された.