著者
岡崎 良平 難波 宏好 吉田 広幸 岡井 恒 河村 稔
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.407-413, 2008-09-25 (Released:2011-12-01)
参考文献数
24

目的:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン®,以下NTP)と疼痛疾患治療に使われる非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および抗うつ薬の抗アロディニア作用を比較した.また,NTPとミルナシプランの併用効果についても検討した.方法:9週齢Wistar系雄性ラットを用い,麻酔下でL5脊髄神経の後根神経節末梢側を結紮した.手術28日後に薬物を経口投与し,機械刺激性アロディニアを測定した.NTPとミルナシプランの30%有効用量を求め,アイソボログラムにより併用効果を評価した.結果:NTPは400 NU/kgでアロディニアを抑制した.NSAID(ロキソプロフェン)およびCOX-2選択的阻害薬(セレコキシブ)は100 mg/kgで抑制しなかった.抗うつ薬であるSNRI(ミルナシプラン)は100 mg/kgでアロディニアを抑制したが,SSRI(パロキセチン)は10 mg/kgで抑制しなかった.NTPとミルナシプランとの併用により相加効果が認められた.結論:神経障害性疼痛に対してNTPはSSRIおよびNSAIDより有効であり,NTPとSNRIの併用が有用であることが示唆された.