著者
中村 育夫 藤本 康弘 飯田 健二郎 末岡 英明 岡本 共弘 鳥口 寛 奥野 将之 岩間 英明 河端 悠介 多田 正晴
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.77-80, 2021-04-15 (Released:2022-05-15)
参考文献数
21

高齢者の手術増加に伴い, 高齢者にみられる術後認知機能障害 (postoperative cognitive dysfunction : POCD) や術後せん妄 (Postoperative delirium: POD) が問題となり, 周術期の予防と管理が重要である.  抑肝散と抑肝散加陳皮半夏は神経症, 不眠症, 小児夜泣き, 小児疳症 (神経過敏) が適応で, 消化器症状 (悪心, 嘔吐) を有する場合は抑肝散加陳皮半夏を選択する. 作用機序は, ①セロトニン神経系と②グルタミン酸神経系が関与している. 通常, 成人1日7.5gを2‐3回に分割し, 食前または食間に経口投与する. 術前5~7日前より服用し, 術後早期より再開し退院日まで服用させる. 重篤な副作用に低カリウム血症 (偽アルドステロン症) がある. POCDやPODを改善し, また入院中の睡眠導入剤や抗不安薬などの併用薬の使用を減少させる可能性がある.  本稿では, 抑肝散と抑肝散加陳皮半夏によるPOCDとPODの予防と管理について述べる.
著者
杉本 貴昭 王 孔志 岡田 敏弘 佐竹 真 岡本 共弘 藤元 治朗
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.2076-2080, 2010 (Released:2011-02-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

先端巨大症は下垂体腺腫より成長ホルモンが過剰分泌される比較的稀な疾患である.大腸や乳腺,前立腺などの悪性腫瘍を合併することが近年報告されている.症例は71歳の女性で,12年前に先端巨大症,下垂体腺腫に対してHardyの手術を施行された.術後通院は自己にて中断していた.排便時出血を認めたため,近医受診.痔疾を指摘され加療を受けたが,症状が続くため消化管を精査されたところ,S状結腸に1型腫瘍を認め,加療目的にて当科紹介となった.全身精査にてびまん性甲状腺腫大を認めるのみで転移所見はなかった.S状結腸切除を行い,良好に経過した.内分泌機能検査では成長ホルモンおよびIGF-1が高値であり,下垂体腺腫切除後,成長ホルモン過剰分泌抑制が不十分であった先端巨大症に合併したS状結腸癌と考えられた.ブリモクリプチンの投与を開始し,外来にて経過観察を行っている.