著者
岡本 勝男 小野 公大 土井 佑也
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.109-116, 2015-11-30 (Released:2016-06-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1

統計資料は災害把握や食料需給見積もり、政策立案のうえで基本資料となる。広域や地上調査困難地域で客観的で信頼できるデータを得るためには、衛星リモート・センシングは強力なツールとなる。筆者らは衛星光学センサ・データから算出した改良型正規化差分水指数(MNDWI: Modified Normalized Difference Water Index)と正規化差分植生指数(NDVI: Normalized Difference Vegetation Index)を用いて水田に注目して土地利用・土地被覆を分類する手法を開発した。この手法を青森県のLandsat TM(Thematic Mapper)/ETM+(Enhanced Thematic Mapper Plus)データに適用して水田を検出した。水田とその周囲のミクセルから画素内水田面積率を計算して、2002 年の市町村別水稲作付面積を推定した。ミクセル内の水田面積率100%は田植え期の水域のMNDWI 平均-3σ(Path= 107 は0.15、Path= 108 は0.10)、水田面積率0%は田植え期の土・人工構造物のMNDWI 平均+2σ(= -0.17)だった。その結果、2002 年の青森県の水稲作付面積は、51,283 ha と推定され、統計値52,597 ha の97.5%だった。水田分類精度は93.0~97.7%、水田検出精度は、85.0~97.0%だった。本研究で開発した簡易分類手法を用いることにより、従来の教師なし分類や教師付き分類より作業時間が短縮できた。
著者
本田 学 新藤 純子 岡本 勝男 川島 博之
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.157-165, 2008-07-10

都市化や高齢化といった人口構成の変化を考慮し,中国の食料需要量を省市自治区・都市農村別に予測した。予測モデルは人口部門と食料需要部門から成る。人口部門では,人口移動を考慮したコホートモデルを用いて将来人口を推計し,食料需要部門では,所得を外生変数として一人当たり食料需要量を予測した。データの精度が疑わしい場合は,文献を参考に補正を行った。推計の結果,食用穀物及び動物性食品の需要量は,2005年の1.94億t,0.60億tから,2030年の1.35億t,0.99億tへとそれぞれ変化した。都市化と農村部の所得増加が,穀物から動物性食品への需要シフトを引き起こす。しかし,一人当たり需要量の格差解消や高齢化により,動物性食品需要の伸び率は今後低下する。