著者
岡本 好一 八重樫 隆志
出版者
日本線虫学会
雑誌
日本線虫研究会誌 (ISSN:03882357)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.35-42, 1981

1) 本邦産の主な<I>Meloidogyne</I> 6種について, 第2期幼虫の正面像をSEMで比較検討した。<BR>2) labial discととmedial lipは各種とも融合し, その形状は<I>M.Javanica</I>以外の5種はいずれも唖鈴型 (dumbbell-shaped) で, <I>M.incognita, M.arenaria, M.mali</I>および<I>M.camelliae</I>で大きく, <I>M.hapla</I>で小さい。lateral lipとmedial lipの接合は, labial discの側端に垂直である。<I>M.javanica</I>では蝶ネクタイ型 (bowtie-shaped) で, lateral lipとmedial lipの接合はlabial discの側端に鈍角である。<BR>3) cephalic sensillumは<I>M. hapla</I>と<I>M. camelliae</I>で不明瞭であったが, 他種では認められた。<BR>4) lateral lipの形状は, <I>M. incognita</I>と<I>M. arenaria</I>が丸く, 長く, <I>M.hapla</I>は丸く, 短い。<I>M.javanica</I>と<I>M.mali</I>は大きく, medial lipの側端よりもつき出し, その形状はM.jamnicaでは三角形, M.maliでは丸味を帯びる。<BR>5) head regionの体環の有無については, <I>M.incognita</I>の供試populationでは不規則かつ不完全ながら体環が認められたが, 他の種類では認め得なかった。<BR>6) 以上の結果から, 供試した本邦産6種の<I>Meloidogyne</I>の第2期幼虫の正面像は, 種によってそれぞれ異なり, そのうち4種の特徴はEisenback and Hirschmann3) の記述とほぼ一致し, SEMによる正面像の観察で種の識別が可能と認められた。