著者
岡本 留美 我部山 キヨ子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.194-202, 2015-11-02 (Released:2015-11-17)
参考文献数
28

目的:胎児異常の診断を受けた女性とそのパートナーの支援に関する文献を整理し,支援の方向性と今後の研究課題について示唆を得る.方法:PubMed, Web of Science, 医学中央雑誌を用いて“fetal abnormality (胎児異常)”“women(女性)”“partner(パートナー)”“nursing(看護)”をキーワードに2003年1月から2013年12月の期間に発表された文献を検索.胎児異常を診断された女性の体験や心理に関する研究とパートナーの体験を含む26文献(国内文献10件・海外文献16件)を分析対象とした.結果:妊娠期の女性に焦点を当てた研究がほとんどであった.女性とパートナーの心理特性では,診断時における悲嘆,不安,ショック,などの心理的反応に性別の違いはなく,夫婦間での一致の頻度は高かった.また,夫婦ともにネガティブな感情だけでなく,希望などのポジティブな感情もみられた.医療者には,胎児異常の診断時から正確な情報提供を行うことや共感的で継続的な支援が求められていた.結論:日本の研究は海外に比べ集積が少ない現状にあり,日本の社会文化的背景のなかでの検討が必要である.今後は,ケアシステム構築のため,パートナーも含めたケアニーズやケアの質評価に関する検討が必要である.女性とそのパートナーの支援を行う看護者への教育プログラムの必要性が示唆された.