著者
田中 久夫 長谷川 正 木村 澄枝 岡本 郁栄 坂井 陽一
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.207-218, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
11
被引用文献数
7 10

新潟砂丘は10列の砂丘列からなり,その形成年代を遺跡をもとに,新砂丘I・新砂丘II・新砂丘IIIに区分できることを新潟古砂丘グループ(1974)は報告した.その後,砂丘地域の開発にともなって,多くの遺跡発掘調査が行われ,それに関連した調査・分析も行われてきた.また,砂丘およびその周辺で発見された遺物・遺跡については,新たな遺跡が発見されるごとに作成される新潟県教育委員会の市町村別遺跡カードおよび遺跡分布図をもとに,遺跡分布図を作成した.それらの結果,大略次の点を明らかにできた.1.新砂丘I-1より縄文時代前期初頭の遺物が,新砂丘IIより縄文時代後期の遺物が出土した.その結果,これらの砂丘形成は,新潟古砂丘グループ(1974)が述べたよりも古い時代であることが明らかになった.2.緒立,六地山の各遺跡の発掘で,沖積面下に埋没していた砂丘が確認された.それらの砂丘は,新砂丘IIに対比されるもので,これによって砂丘列のつながりが確かめられた.3.新砂丘I-4と新砂丘IIの砂丘砂には,自形をした角閃石,シソ輝石が多く含まれており,このことから砂丘砂の供給と沼沢火山の活動との関係が推定できた.