著者
岡田 慶一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.125-128, 2012-05-01 (Released:2012-06-22)
参考文献数
16

【背 景】 経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy ; PEG) が認知症高齢者に多数実施されている. 【目 的】 認知症高齢者へのPEG造設には賛否両論がある. 当老健の認知症高齢者へのPEG後家族アンケートを行いその有用性を報告する. 【対象と方法】 PEG29例の平均年齢は81.8歳. PEG後早期及び長期フォローアップアンケートを行った. 【結 果】 PEG後早期アンケートでは29例中27例93%はPEGにして良かった. 2例はどちらとも言えない意見でありPEG後3ヵ月で死亡した. PEGにして良かった理由は点滴せず, 食事の時苦しまず笑顔が見えコミュニケーションがとれ面会が楽しみとなった. 体重が増加した. 長期フォローアップアンケートは19例中17例死亡し2例が生存. 死亡例は長期間生きられ天寿を全うできた. PEG後再入所しリハビリで寝たきりにならず良かった. 生存2例も面会が家族の楽しみとなっている. 【結語】 老健における認知症高齢者に対するPEGは本人の延命を計りQOLの改善と家族の満足度を向上させるので積極的に行うべきと思われる.
著者
岡田 慶一
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO Medical Journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.9-14, 2009
被引用文献数
1

<B>【背 景】</B> 介護老人保健施設で認知症高齢者が急増. <B>【目 的】</B> その摂食・嚥下障害の対策と結果を報告する. <B>【対象と方法】</B> 当施設の摂食・嚥下障害は56例. 平均年齢84.2歳. 医師, STの所見の対策と効果を検討. 効果を4段階評価した. <B>【結 果】</B> (1)食思の問題(2)嗜好の問題(3)食物認知の問題(4)拙劣な摂食動作の問題(5)咀嚼から嚥下運動の問題5項目に分類. 更に14中項目, 23小項目で対策を立て, 実施評価した. 食思の発動性の低下, 異常な確信, 固執は効果があり. うつ状態や食事健忘, 食欲の異常な亢進・盗食は効果は小. 甘い物, 飲み物, 汁物のみ口にするは効果あり. とろみ, ミキサー食の拒否は効果は少ない. 食物認知で注意の問題は効果あり. 摂食スピードの異常は効果あり. 拙劣な摂食動作は一部効果あり. 咀嚼から嚥下への移動困難は効果少であった. <B>【結 語】</B> 認知症高齢者摂食・嚥下障害の対策は約50%が有効であった.