著者
津田 勝男 山下 紘平 坂巻 祥孝 櫛下町 鉦敏 青木 智佐 飯山 和弘 岡田 斉夫 河原畑 勇
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.119-122, 2005
被引用文献数
2

長期間保存されたNPVについて、その病原性を確認するためにハスモンヨトウ幼虫により生物検定を行った。多角体を水に浮遊して4℃の条件下で24年から34年間保存した7種類のNPVウイルス株を供試した。この結果、6種類のウイルス株が病原性を保持していることが確認された。病原性が確認された各ウイルス株のLC50値(PIB/ml)は、ハスモンヨトウNPV福山株は5.5-6.1×10(5)、ワタヨトウNPVエジプト株は6.1-8.6×10(5)、ヨトウガNPV芸北株は1.5-2.0×10(9)、ヨトウガNPV東京株は1.9-4.3×10(8)、シロモンヤガNPVは3.9-4.7×10(8)、アワヨトウNPVは3.6-5.7×10(7)で、24年から28年間の長期保存の間に病原力は低下したが、病原性が残存していることが明らかになった。一方、保存期間が34年であったクサシロキヨトウNPVでは病原性が消失していた。また、長期間の保存によって病原力が低下した場合でも、再接種を行い虫体によりウイルスを増殖させることによって病原力が回復することが確認された。