著者
岡田 正道
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学医学雑誌 (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.43-50, 2001-04-25

骨の成長は骨端軟骨板の閉鎖により停止するが, そのメカニズムについては不明であったが, 最近この閉鎖に骨端軟骨細胞のアポトーシスが関与することが明らかにされた.本研究では骨端軟骨細胞のアポトーシスに対するエストロゲンとテストステロンの影響について検討した.在来種の白色家兎の成長軟骨板を組織培養し, これら性ホルモンを作用させ, 休止・増殖・肥大軟骨層におけるアポトーシス細胞の発現を組織化学的に検索した.その結果, 肥大・休止層ではエストロゲンおよびテストステロンによってアポトーシス細胞の発現率が増加された.同様にエストロゲンを家兎に腹腔内投与すると, 成長軟骨板におけるアポトーシス細胞の誘導が認められた.また抗ニトロタイロシン抗体を用いてパーオキシナイトライトの発現を免疫組織化学的に検索したところ, エストロゲン刺激で肥大・休止層にパーオキシナイトライトの染色性の増強を認めた.細胞培養系で骨端軟骨板由来の軟骨細胞にエストロゲンを添加し, 一酸化窒素の誘導を検討したところ細胞のアポトーシスと一酸化窒素の誘導を認めた.以上の事象より, 骨端軟骨板閉鎖のアポトーシス死にエストロゲンも関与し, 機序として骨端軟骨板のフリーラジカル産生を誘導し, 間接的にアポトーシスに関与していることが考えられる.