- 著者
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岡部 直太
菅間 博
- 出版者
- 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
- 雑誌
- 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.2, pp.93-96, 2017 (Released:2017-07-21)
- 参考文献数
- 7
甲状腺癌は予後が良好である。2017年の全国がんセンター協議会の集計によれば,甲状腺癌の10年相対生存率は前立腺癌に次いで2番で,発症年齢や手術率,臨床病期Ⅳで生存率などを考慮すると,実質的には1番である。甲状腺高分化癌には,癌遺伝子変異が高率にみられ増殖シグナルが恒常的に活性化されているが,他臓器の癌に比べ増殖速度は極めて遅い。微小乳頭癌は進行することが少ないため,手術することなく経過観察することが推奨されつつある。手術検体の病理診断の結果,乳頭癌で術後に注意が必要なのは,予後不良な未分化癌や低分化癌との鑑別が問題となる場合,相対的に予後が悪い組織亜型の高細胞型乳頭癌や円柱細胞癌の場合などが挙げられる。濾胞癌では,広汎浸潤型で血行性遠隔転移が予測される場合や,低分化癌の島状癌との鑑別が問題となる場合である。