著者
岡﨑 哲也
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.139-142, 2013-03-20 (Released:2013-03-25)
参考文献数
2

要旨:高次脳機能障害に特有のリハビリテーション(以下,リハ)医療や専門的社会支援を必要とする患者のほぼ半数を脳血管障害が占めるとの報告があり(蜂須賀ら2011),脳卒中診療においても高次脳機能障害のリハと職場復帰は大きな課題である.リハにおいて記憶障害への対策は重要で,軽度の記憶障害においては視覚イメージの利用や手帳の活用などの記憶トレーニングが,重度の記憶障害においては外的代償手段の使用や誤りなし学習法が奨められている(Ciceroneら2011).高次脳機能障害は能動的に行動しない入院生活では問題となりにくい.本人にも周囲にも「目に見えない障害」を抱えて職場復帰した結果,能力や勤労意欲を欠くとみなされやすく注意を要する.また,その障害特性より就労後に新たな問題を生じてきやすい.個々の症例に応じて産業医や利用可能な社会資源とも連携し,就労継続支援を丁寧に行うことが重要である.