著者
齋藤 とも子 豊嶋 浩之 久保田 倍生 森 浩一 徳永 紗織 岩下 智之 安部 睦美
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.89-93, 2008 (Released:2019-08-05)
参考文献数
13

家庭でも汎用される防水スプレーは、直接吸入、さらには熱分解産物で毒性を増した成分の吸入により肺障害が引き起こされる。今回我々は、40+X 歳の男性が締め切った室内で防水スプレーを使用したところ呼吸困難を自覚し、約48 時間後に呼吸苦、咳嗽の悪化を認め防水スプレー吸入による化学性肺炎と診断した症例を経験した。その病態生理としては、撥水剤として用いられているフッ素樹脂により肺の表面活性物質が拮抗されて肺胞虚脱を生じ、一部が肺炎に移行する可能性が示唆されている。今回我々は暴露後数日たってから化学性肺炎を発症し、ステロイド、好中球エラスターゼ選択的阻害薬の投与、BiPAP(bi-level positive airway pressure)による呼吸管理を行うことで症状改善を得ることができた症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。初発症状が軽微でも呼吸器症状の経過を詳細に観察することが重要であると考える。
著者
齋藤 とも子 豊嶋 浩之 久保田 倍生 森 浩一 徳永 紗織 岩下 智之 安部 睦美
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.89-93, 2008

家庭でも汎用される防水スプレーは、直接吸入、さらには熱分解産物で毒性を増した成分の吸入により肺障害が引き起こされる。今回我々は、40+X 歳の男性が締め切った室内で防水スプレーを使用したところ呼吸困難を自覚し、約48 時間後に呼吸苦、咳嗽の悪化を認め防水スプレー吸入による化学性肺炎と診断した症例を経験した。その病態生理としては、撥水剤として用いられているフッ素樹脂により肺の表面活性物質が拮抗されて肺胞虚脱を生じ、一部が肺炎に移行する可能性が示唆されている。今回我々は暴露後数日たってから化学性肺炎を発症し、ステロイド、好中球エラスターゼ選択的阻害薬の投与、BiPAP(bi-level positive airway pressure)による呼吸管理を行うことで症状改善を得ることができた症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。初発症状が軽微でも呼吸器症状の経過を詳細に観察することが重要であると考える。
著者
安部 睦美 岩下 智之
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.21-28, 2010 (Released:2019-07-30)
参考文献数
13

がん疼痛治療を行う上で、薬物療法は有効な治療法で、医療用麻薬はその中心的な役割を果たす。医療用麻薬を適正に使用することは医師にとってはもちろん習得しなければならないスキルであるが、薬剤師の医療用麻薬使用における役割も今後いっそう重要性を増してくるものと思われる。昨今、外来におけるがん治療患者の増加に伴い、医療用麻薬を服用する患者が増え、外来での服薬指導の必要性を感じている。今回我々は、松江市の薬剤師(主に保険調剤薬局)を対象に医療用麻薬に関する意識調査を行った。その結果、89%の薬剤師が緩和ケアは身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛の緩和を行う分野であるということを認識しており、概念的には理解されていることが明らかになった。しかし問題点として、疼痛の評価・服薬指導の不十分さ、医療用麻薬への偏見、医療用麻薬の正しい知識の習得、薬薬連携、医師との連携の必要性が浮き彫りになり、「緩和ケアの充実」に対しては、患者・家族・医療者への啓発が挙げられた。薬剤師による服薬指導は、患者がより安心してがん疼痛治療に望むことができるためには重要で、保険調剤薬局と病院薬剤師がより密に連携を取ることが必要であり、さらに処方する医師との連携も重要であると思われる。