著者
八木 信行 岩下 輝美 小柳 隆之 石川 浩明
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.73-78, 2010-03-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
16

目的:関節リウマチ患者を対象に実施したPMSの症例を用いて,腎機能別のミゾリビンの有効性と安全性ならびに腎機能への影響を検討した. 対象・方法:対象は1,805例の登録症例のうち,24週時にACRコアセットによる評価が実施され,投与開始時の推定腎機能(eGFR)が算出可能であった417例とした.eGFRはsCrと年齢から,日本腎臓学会CKD対策委員会が作成した日本人のeGFR推算式から算出しCKD stageに分類した.有効性はACRコアセットの20%改善症例率を検討した.有害事象は担当医師が本剤との因果関係を完全に否定したものを除き副作用と分類した. 結果:CKD stageによるACR20の改善率は有意な差を認めなかった.副作用の発現頻度にもCKD stageで発現頻度に違いはあるが,有意な差は認めなかった.腎機能は各CKD Stageとも腎機能低下は認めなかった.特にStage 3では,開始時のeGFRが50.2mL/min/1.73m²±7.0から24週後には60.2mL/min/1.73m²±17.9と有意な腎機能の改善が認められ,Stage 2でも同様であった. 結論:ミゾリビンはCKD stage 3までの患者や,高齢RA患者に対しても比較的使用しやすい薬剤ではないかと考えられた.
著者
岩下 輝美 吉田 寿雄 岡田 研也
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.37-44, 2015-03-30 (Released:2015-04-30)
参考文献数
16

ミゾリビンの関節リウマチ患者に対する使用実態の把握,使用実態下における安全性・有効性に関する情報を収集し,本剤の適正使用に資することを目的として,2008年10月~2010年10月の間に本剤が投与開始された関節リウマチ患者を対象に市販後調査を実施した.安全性解析対象症例3,325例の平均年齢は66.2±12.5歳で,65歳以上が61.1%,75歳以上が28.4%であった.合併症は59.3%に認められた.副作用は330例に392件発現し,副作用発現症例率は9.92%,重篤副作用発現症例率は1.32%であった.EULAR改善基準で有効性を評価した結果,24週後の治療反応性はgood response13.4%,moderate response32.6%,no response54.0%であった.65歳以上と未満で,副作用発現症例率と有効性には差は認められなかったが,重篤副作用発現症例率は65歳以上が未満と比較して有意に高かった.本調査において,ミゾリビンは高齢者や合併症のあるリスクの高い症例に多く投与されていたが,比較的有効で安全な投与が可能であったことから,このような症例に対してはミゾリビンが選択肢の一つになり得ると考えられた.