- 著者
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岩切 朋彦
- 出版者
- 鹿児島女子短期大学
- 雑誌
- 鹿児島女子短期大学紀要 = Bulletin of Kagoshima Women's College (ISSN:02868970)
- 巻号頁・発行日
- no.54, pp.37-49, 2018
「働く留学生」をめぐる諸問題について,前稿で提起した問題に答えるために,本稿では福岡市の日本語学校に通うネパール人留学生に対して行ったインタビュー調査をもとに,留学生の日常生活をエスノグラフィとして描いていく.留学生たちはアルバイト先において,学校教育では経験できない言語的かつ文化的な学びを得ており,他者との相互作用を通じて複雑な文化的アイデンティフィケーションの過程を経ていることが明らかになった.このことから,留学生の就労制限の緩和は,学習効果への影響という側面から考えてもそれほど問題はないと結論付けた.むしろ,就労を通した「状況的学習」という観点から見れば,地域コミュニティとの社会的相互作用を経ることで,来るべき移民社会へ向けた過渡段階として,多文化共生の社会的素地を作り上げているとも言えるのである.