著者
岩尾 正倫 石橋 郁人 福田 勉
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

海洋天然物ラメラリンは、トポイソメラーゼIやプロテインキナーゼ(CDK, GSK-3, Pim1, DYRK1A, CLK等)を分子標的とする多機能性の抗がん物質である。本研究では、ラメラリンアナローグを用いた構造活性相関研究とドッキングシミュレーションによる阻害分子機構解析により、各分子標的に選択的な阻害剤を創製することを目的とした。その結果、ラメラリン骨格上の酸素官能基の適切な配置により、キナーゼ選択的(orトポI選択的)阻害剤の創製が可能であることが明らかになった。また、ラメラリン骨格C1-C11間の軸不斉に基づく16-メチルラメラリンNの二つのエナンチオマー間でキナーゼ阻害活性や選択性に大きな違いがあることも明らかになった。さらに、1位芳香環を置換したラメラリンN類縁体の多くが1位置換基の構造に依存して、キナーゼ阻害に有意な選択性を示すことも明らかになった。