- 著者
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橋本 禅
有田 博之
保高 徹生
岩崎 有美
- 出版者
- 公益社団法人 農業農村工学会
- 雑誌
- 農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
- 巻号頁・発行日
- vol.81, no.2, pp.153-162, 2013-04-25 (Released:2014-04-25)
- 参考文献数
- 28
本稿では,(1)除染における地域指定や優先順位の方針の整理を通じて,(2)除染において農村地域がどのように序列化されるかを明らかにすると共に,(3)農村地域の除染と生活再建においてどのような影響が想定されるか,また(4)それら影響に対する対応策の提案を行なった.国が示す除染の優先順位付けの方針は,結果的に農村地域の除染対応の遅れを引き起こす可能性が高い.仮置き場の確保や同意取得の難航は本状況を更に深刻なものとすると懸念される.また,除染の効果にも限界があり,空間線量の高い地域では除染の遅延と相まって住民の避難生活の長期化が予測される.自治体の住民意向調査からは,避難が長期化した場合,帰還率のさらなる低下が見込まれることが示唆されており,除染や復興への戦略的対応が求められる.本稿ではこれに対応する方策として,急激な人口の流出を前提としつつも除染対応を地域再編の契機として捉えた,地区レベルでの復興構想の策定を提案した.