著者
岩本 晃代
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 = Bulletin of Sojo University (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.47-58, 2017

村野四郎の戦前の詩業については、『体操詩集』(昭和一四年)のみが注目され、新即物主義を基調としたモダニズムの代表的詩人としての評価に留まっている。本稿では、これまで論及されることがほとんどなかった彼の第一詩集『罠』(大正一五年)の詩篇を、詩法を視座に分析し検証を行った。定型俳句から自由律俳句を経て、自由詩の方法を獲得した初期詩集は二つの対照的な世界で構築されている。それらの特質を明らかにすることによって、『罠』を新たな視点から評価した。