著者
宮⽥ ⼀弘 岩本 紘樹 ⼩林 壮太
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
pp.202228, (Released:2023-06-12)
参考文献数
24

【⽬的】⼤腿⾻近位部⾻折患者における歩⾏⾃⽴の予測モデルの外的検証を⾏い,臨床活⽤可能か検討すること。【⽅法】対象は回復期リハビリテーション病棟へ⼊院した⾼齢の⼤腿⾻近位部⾻折患者163名とした。 ⼊院時の認知機能とバランス能⼒から退院時の歩⾏⾃⽴を予測するモデルにおいて検証コホートで識別能と較正を検討した。【結果】検証コホートは,開発コホートと⽐較して識別能として曲線下⾯積は同程度,感度は⾼く,特異度は低かった。較正にはCalibration plotを⽤い,歩⾏⾃⽴する確率が⾼い患者については予測確率と観測確率は⼀致していたが,歩⾏⾃⽴する確率が中程度〜低い患者については予測確率より観測確率の⾼い過⼩予測であった。【結論】⼤腿⾻近位部⾻折患者における歩⾏⾃⽴の予測モデルは,較正に⼀部問題があったものの識別能は良好であり,回復期リハビリテーション病棟へ⼊院する⼤腿⾻近位部⾻折患者に対して⼀般化できる可能性が⽰唆された。
著者
岩本 紘樹 田村 俊太郎 小林 壮太 武田 廉 宮田 一弘
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.1169-1180, 2021-10-18 (Released:2021-11-29)
参考文献数
25

目的:潜在変数の順序性を検討できる潜在ランク理論(latent rank theory:LRT)を用いて,大腿骨近位部骨折患者のバランス能力ステージを明らかにすること.方法:対象は3施設の回復期リハビリテーション病棟へ入院した高齢の大腿骨近位部骨折患者252名から得られた延べ475データとした.バランス評価には,Berg Balance Scale(BBS)を用いた.解析は,LRTを実施し適合度指標と情報量規準の結果から潜在ランク数を決定し,各ランクと歩行自立度と歩行補助具の関連性を検討した.結果:LRTの結果,BBSは5ランク数に分類したモデルが最も良好であった.各ランクの平均値は,ランク1が17.1点,2が24.6点,3が34.8点,4が42.9点,5が47.3点であり,単調増加していたためLRTの仮定は満たされていた.各ランクと歩行自立度,歩行補助具には有意な関連が認められ,ランク3以上で歩行器などを用いて歩行自立できる者が出現し,ランク5以外では階段や不整地を自立している者はいなかった.結論:大腿骨近位部骨折患者において,BBSは5つのステージに分類でき,バランス能力ステージ別に異なる特徴を有していた.これにより,BBSの得点に応じたバランス能力の把握が容易となる可能性が示唆された.