著者
野口 亜季 岩永 朋子 十川 英 藏元 智英 藤木 誠
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.39-44, 2023 (Released:2023-10-17)
参考文献数
17

3ヶ月齢、未避妊雌の雑種猫が離乳後の吐出を主訴に来院した。血管造影コンピューター断層撮影(CT)検査にて右鎖骨下動脈起始異常、右鎖骨下動脈と右総頸動脈の吻合による完全な血管輪が確認され、それによる食道狭窄および重度食道拡張と診断した。食餌の工夫を行い症状は管理可能であったため、8ヶ月齢まで成長したときに右側第4–5肋間アプローチにて外科手術を行った。右鎖骨下動脈の起始部で結紮離断を行い、食道狭窄は解除された。術後の合併症は認めず、術後6日目で退院した。術後2ヶ月で食道拡張部位に毛球が貯留し内視鏡下での摘出が必要であったが、術後12ヶ月が経過した現在、経過は良好である。