著者
岩瀬 大輔
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.612, pp.612_219-612_238, 2011-03-31 (Released:2013-04-17)
参考文献数
23

1996年の改正保険業法に始まった生命保険自由化の流れは,業界の市場構造に大きな変化を及ぼした。しかし,これを消費者利益の観点から改めて見ると,競争によって価格を引き下げ,剰余を消費者に還元するという目的は実現できていない。規制緩和によるメリットを消費者が十分に享受するためには,消費者がニーズに合った保険を選ぶために必要な情報開示をさらに強化する必要がある。具体的には,比較情報を流通させるための前提となる約款と保険料表の開示と,それらの情報を十分に使いこなすための前提として「購入者手引」の全契約者に向けた事前交付を,保険会社に義務付けるべきである。